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【事例サンプル付き】自動車の減価償却費の計算方法と仕訳の仕方

「事業用に自動車を購入したけど、減価償却費ってどうやって計算・仕訳をすればいいの?」

こんな疑問を抱いた個人事業主や会社の経理初心者の方もきっと多いでしょう。

自動車を購入したときの会計処理は複雑で、つい頭を悩ましてしまうものですよね。減価償却費の計算もしなくてはいけないので、しっかりと計算方法や仕訳を知っておく必要があります。

そこで、ここでは自動車を購入した時の「減価償却」に焦点を当てて会計処理方法の解説をしていきましょう。

なお、面倒な減価償却の計算も自動でやってくれる「やよいの青色申告オンライン」を使うと簡単に仕訳がきれますよ。1年間無料なので、会計ソフトをまだ使ったことが無い方は是非一度登録して“楽さ”を味わってみて下さい。

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減価償却とは?知らないと痛い目に遭うかも!

疑問

計算例を見ていく前に、減価償却について簡単におさらいをしておきましょう。

通常、事業に関係する買い物をした場合、購入した時点で費用計上をしますよね。それは購入して使用した時点で、事業の売上獲得に貢献をしたと考えられるからです。

しかし、中には機械や工具、車などの様に購入してから何年も使用し続けるものがありますよね。これらは購入してすぐに使い終わる訳ではなく長期間にわたって売上獲得に貢献するものです。

こういった長年売上に貢献するものを購入した場合は、購入した時点に一括で費用計上をするのではなく、使用する年度にわたって時の経過に応じて費用計上をしていく方が、売上と費用を対応させる意味では好ましいですよね。

参考:企業会計原則上、費用と収益を可能な限り対応させるのが、期間損益計算の鉄則です(これを費用収益対応の原則と言います)。

車の前に経つ女性-2

そこで、「取得価額が10万円以上のものや使用可能年数が1年以上のもの」については、購入してから数年にわたって費用計上しよう!という決まりになっているという訳です。これを減価償却と呼びます。

減価償却の対象となっている資産を一括で費用計上してしまうと、税務調査時に否認されて痛い目に遭いかねません。しっかりと計算方法や仕訳の方法を学んで正しい金額を計上する様にしましょう。

車(車両運搬具)の基本となる減価償却方法は「定額法」と「定率法」

固定資産の減価償却の計算方法は主として「定額法」「定率法」が有り、減価償却資産の種類ごとに減価償却方法を選ぶ事が出来ます。

そして、償却方法を自主的に選んだ場合には所轄の税務署に届け出なければなりません。

電卓を持つ女性

なお、届け出をしなかった場合、「法定の償却方法」で減価償却をすることになります(税務署に届け出る方は少ないので、こちらの方法が採用されているケースが殆どです)。

自動車(車両運搬具)の法定償却方法は、以下の通りです。

  • 法人・・・定率法
  • 個人・・・定額法

:平成19年3月31日以前に取得した車については、法人は「旧定率法」個人は「旧定額法」が法定の償却方法となります。(参考:国税庁

車の減価償却費の計算方法は?

疑問に思う女性

減価償却費はどの様に計算すれば良いのでしょうか?定額法と定率法とで計算方法が異なるので、以下でそれぞれについて見ていきましょう。

なお、具体的な数値を使った計算は仕訳方法のところで紹介するので、ここでは計算式と概要について紹介します。なお、耐用年数や償却率について知らない方は下記記事も合わせて御覧ください。

自動車の耐用年数とそれに対する減価償却率

定額法の場合

定額法の場合、減価償却費は以下の計算式によって計算されます。

取得価額×定額法の償却率

また、後述する定率法の場合も同じですが、「期中に自動車を取得した場合」は減価償却費を月割計算をする必要があり、「事業の用に供し始めた月」から事業年度末までの月までの分が減価償却費となります。

例えば、12月決算の会社が7月20日に新しく自動車を事業の用に供した場合、事業年度末まで6ヶ月あるので、上記の計算式の計算結果に「×6ヶ月÷12ヶ月」を付け加える必要があります。

ちなみに、減価償却は帳簿価額が1円となるまで続ける事が出来ます(平成19年度の税制改正により導入された方法で、以前は異なる方法でした)。

定率法の場合

定率法の場合、減価償却費は以下の計算式によって計算されます。

未償却残高(取得価額-期首までの償却累計額)×定率法の償却率

自動車の耐用年数とそれに対する減価償却率

なお、少しややこしいですが税務上、定率法には以下のもう1つの計算式があり、状況に応じて使い分ける必要があります。

改定取得価額×改定償却率


この算式は、「調整前償却額が償却保証額に満たない場合」に、以降の年度で使用することになります。

■簡単な用語説明

用語説明
調整前償却額
「未償却残高×定率法の償却率」の別名
償却保証額
取得価額×保証率(耐用年数省令別表第9・10で規定されています。)
改定取得価額
調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる年度の期首の未償却残高
改定償却率
耐用年数省令別表第9・10に規定されています。

また、定率法の計算方法は、平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産について「200%定率法」という方法が導入されています(償却率等が変更されただけで、計算方法は変わっていません)。

1円未満の端数処理

減価償却計算の結果、1円未満の端数が生じた場合は切上げするのでしょうか?それとも切捨てでしょうか?この点について、明確な決まりがある訳ではありません。

しかし、国税庁としては「所得税の場合は端数切上げ」を基本としています(参考:国税庁)。一方で、法人税の減価償却の場合は特に何も定めがありません。

ちなみに、後で紹介する計算例では端数を切捨てしています。

なお、冒頭でも書きましたが、クラウド会計ソフトを使うとこの辺りの難しい話も簡単にしてくれるのでオススメです。

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車の減価償却の仕訳方法〜直接法と間接法〜

自動車と女性
減価償却の仕訳には、資産として計上された「車両運搬具」の金額を直接減額するかどうかによって、以下の2つの方法に分かれます。

  • 直接法・・・「車両運搬具」の金額を直接減額する
  • 間接法・・・「車両運搬具」の金額を減額せずに、「減価償却累計額」を使用する

なお、どちらの方法を採用したとしても損益に与える影響は変わりません。

では、それぞれの方法によって減価償却をした場合の仕訳を見ていきましょう。減価償却計算は以下の前提条件で行っていきます。

前提条件

・車両の取得価額:1,500,000円
・耐用年数:6年
・決算日:12月31日
・事業の用に供した日:平成26年8月5日
・償却率:0.167(定額法)0.417(定率法)
・途中で売却はしない
・改定償却率0.334
・保証率0.09911

定額法の減価償却計算と仕訳例(直接法)

まずは、定額法によって減価償却費を計算した場合の仕訳を見ていきましょう。

参考:減価償却費は消費税の課税対象外です。

購入した年度の仕訳

事業の用に供し始めた年度は月割り計算となるので、減価償却費は、「1,500,000円×0.167×5÷12=104,375円」となります。

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減価償却費104,375車両運搬具104,375

2年目〜6年目の仕訳

翌年以降は、12ヶ月分の減価償却となるので、減価償却費は、「1,500,000円×0.167=250,500円」となります。

借方金額貸方金額
減価償却費250,500車両運搬具250,500

定額法の場合は、基本的に毎年減価償却費が同じ金額になるので簡単ですね。

最終年度の仕訳

事業の用に供してから6年(72ヶ月)が経過する年度は、帳簿価額が1円(備忘価額といいます)になるまでの金額を減価償却費とすることになります。

従って、減価償却費は「1,500,000円-(104,375円+250,500円×5+1)=143,124円」となります。

借方金額貸方金額
減価償却費143,124車両運搬具143,124

定率法の減価償却計算と仕訳例(直接法)

次に、定率法によって減価償却費を計算した場合の仕訳を見ていきましょう。定率法は定額法と比べると少しだけ計算がややこしいです。

購入した年度の仕訳

事業の用に供し始めた年度は月割り計算となるので、減価償却費は、「1,500,000円×0.333×5÷12=208,125円」となります。

借方金額貸方金額
減価償却費208,125車両運搬具208,125

2年目の仕訳

2年目以降は、期首時点の未償却残高に償却率を掛けることで減価償却費が算出できます。

従って、2年目の減価償却費は「(1,500,000円-208,125円)×0.333=430,194円」となります。なお、減価償却累計額は638,319円です。

借方金額貸方金額
減価償却費430,194車両運搬具430,194

3年目の仕訳

3年目の減価償却費は「(1,500,000円-638,319円)×0.333=286,939円」となります。なお、減価償却累計額は925,258円です。

借方金額貸方金額
減価償却費286,939車両運搬具286,939

4年目の仕訳

3年目の減価償却費は「(1,500,000円-925,258円)×0.333=191,389円」となります。なお、減価償却累計額は1,116,647円です。

借方金額貸方金額
減価償却費191,389車両運搬具191,389

5年目の仕訳

5年目の減価償却費は「(1,500,000円-1,116,647円)×0.333=127,656円となります。

しかし、この年度で調整前償却額(127,656円)が償却保証額(148,665=1,500,000円×0.09911)を下回ることになるので、以降の年度では「改定取得価額」及び「改定償却率」を使用することになります。

改定取得価額は383,353円(=1,500,000円-1,116,647円)となるので、改定後の減価償却費は「383,353円×0.334=128,039円」となります。なお、減価償却累計額は1,244,686円です。

借方金額貸方金額
減価償却費128,039車両運搬具128,039

6年目の仕訳

前年と同様の計算になるので、減価償却費は128,039円となります。なお、減価償却累計額は1,372,725円です。

借方金額貸方金額
減価償却費430,194車両運搬具430,194

最終年度の仕訳

最終年度は、期首時点の帳簿価額が127,275円(1,500,000円-1,372,725円)で、1円との差額が127,274円となり「改定取得価額×改定償却率」の金額に満たないので、期首の帳簿価額と1円までの金額の差額が減価償却費となります。

従って、最終年度の減価償却費は「127,275円-1円=127,274円」となります。

借方金額貸方金額
減価償却費127,274車両運搬具127,274

間接法を採用した場合の仕訳は?

直接法と間接法は、仕訳の方法であって減価償却の方法ではありません。従ってどちらの方法を採用しても、金額自体は変わりありません。

間接法を採用した場合、使用する勘定科目が「車両運搬具」から「減価償却累計額」に変わるだけです。

従って、仕訳の雛形を以下で紹介するだけとしますね。

借方金額貸方金額
減価償却費××減価償却累計額××
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個人事業主が車を家事消費した際の仕訳

疑問に思う個人事業主

個人事業主の場合、購入した自動車を100%事業用に使用しているのであれば、法人の仕訳と全く同じになります(法定の償却方法が異なるので、減価償却費の金額は異なります)。

しかし、個人事業主の場合は生活と仕事で車を兼用している事もよく有ります。家事消費(生活用として使用)している場合、家事消費部分については必要経費として認められないので、減価償却費の金額から除かなければなりません。

そこで、以下では「事業:家事=7:3」の割合を前提として、初年度から2年目までの仕訳を見てみましょう(定額法・直接法の場合)。

購入した年度の仕訳

借方金額貸方金額
減価償却費73,062車両運搬具104,375
事業主貸31,313
合計104,375合計104,375

減価償却の金額自体は、通常の定額法と変わりません。但し、減価償却費として必要経費となる金額は、事業に使用している割合分なので3割部分は「減価償却費」とする事は出来ません。

そこで、31,313円(=104,375円×30%)については、代わりに「事業主貸」を使うことになります。

翌年の仕訳

借方金額貸方金額
減価償却費175,350車両運搬具250,500
事業主貸75,150
合計250,500合計250,500

購入した年度の仕訳と同様、減価償却の金額自体は通常の定額法と同じです。但し、3割部分の75,150円(=250,500円×30%)は「事業主貸」を使う事になります。

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【参考①】減価償却をするかどうかは任意?!

減価償却費を計上するのは任意!」ということを耳にした事はないですか?

記帳する女性

減価償却は上で紹介した計算方法に従って金額を算出しないといけないのですが、うまく活用すれば利益調整にも使うことが出来るのです。

どういう事なのか、以下で見ていきましょう。

まず、法人の減価償却については、法人税法31条で以下の記載がされています。

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法に基づき政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額とする。(括弧書きは省略)

法律の条文は何かと読みづらいですが、要は「減価償却費として損金に出来るのは、帳簿上計上した減価償却金額のうち、償却限度額までとする」ということです。

つまり、決算書上は減価償却費の計上は必要だけど、確定申告書上で一部だけを損金にすることが可能ということです。

これが、「減価償却費の計上が任意」と言われる理由ですね。

申告書上は減価償却費として損金にするかどうかが任意なので、所得を出したいと思ったら減価償却費を損金に算入しないという選択肢も有りなのです(逆に所得を圧縮したいといっても、限度額までしか損金算入は出来ないですけどね)。

一方で、個人事業主の減価償却については、所得税法第49条で、以下の記載がされています。

居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。(括弧書きは省略)

難しい事が書かれていますが、要は「12月31日時点で持っていた減価償却資産は決められた計算方法によって減価償却をする!」ということです。

「強制する」という様な文言は特に登場しないですが、この条文によって「個人事業主の場合は減価償却をしないという選択の余地は無い」とされています。

【参考②】新車と中古車ではどちらを買った方が減価償却計算的にお得?

車の減価償却計算方法や仕訳について紹介してきましたが、新車と中古車のどちらを購入した方が減価償却的にはお得なのでしょうか?「中古車を買った方が得だ!」と言っている方も見かけるので、なんだか気になりますよね。

新車と中古車

この点、新車でも中古車でも最終的に経費になる金額に違いは無く、どちらでも資産計上額から1円(備忘価額)を引いた額が最終的な経費合計です。

但し、新車と中古車とでは減価償却計算に使用する耐用年数が違います。

中古車の耐用年数の求め方・計算方法

例えば、新車の乗用車の場合は耐用年数は6年ですが、5年落ちの中古車の場合は2年です。耐用年数が短い方が経費となるスピードが早くなるので、「少しでも早く経費にして今年の税金を減らしたい!」という方は中古車の方が良いでしょうね。

とはいっても、あくまでも経費となるタイミングの問題で、新車と中古車とで「最終的に経費に出来る金額に違いはない」という点はしっかりと覚えておきましょう。

【参考③】普通車と軽自動車の減価償却計算に違いはあるの?

結論から書きますと、軽自動車の減価償却の計算方法は普通車と同じです。

ただし、普通車と軽自動車では適用される“耐用年数(*)”が違うので、償却率が異なります。

* 新車の場合だと、普通車の耐用年数が6年なのに対して軽自動車は4年です。

耐用年数の記事と本記事の計算方法を見ながら計算してみて下さいね。

自動車の耐用年数とそれに対する減価償却率

最後に

事業用の車を購入した際の減価償却計算や仕訳の方法について見てきました。車関連の仕訳は難しいので敬遠されがちですが、一度しっかりと学んでおけば意外に簡単です(関連記事:車両購入時の仕訳【法人の場合・個人事業主の場合両方解説】

なお「どうしても苦手だ!」という方は会計ソフトで計算するのもアリですよ。会計ソフト上で固定資産を登録すれば、自動で減価償却計算をしてくれるので悩む必要が無くなります。

この記事で紹介しているのは、一般的な仕訳や考え方を記載したものです。詳しくは税務署や税理士に問い合わせる様にして下さいね。

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