1999年に行われた日産とルノーの資本提携によって、ルノーから日産にCOO(最高執行責任者)として派遣されたのが「カルロス・ゴーン」です。
その後2000年に取締役に、2001年にCEO(最高経営責任)に選出され、今現在もCEOとしてその手腕を奮っています(ルノーのCEOも兼務)。
資本提携時には倒産寸前だった日産を、数年で業績回復へと導いた「カルロス・ゴーン」。
彼の功績を評価する1つの指針である「年収」はいくらなのでしょうか?
カルロスゴーンの報収
2013年度の役員報酬は「約10億円」です(2014年6月開示の日産有価証券報告書より)。日産の新入社員の年収は大卒で約350万円(月収約20万、ボーナス約5ヶ月分)、日産社員の年収は約750万円です。新入社員の約300倍、社員平均年収の約140倍を受け取っている事になりますね。
果たして「10億円」という役員報酬は貰い過ぎなのでしょうか?
その他の主な自動車メーカーのCEOの役員報酬とも比較してみましょう(各社2013年度有価証券報告書より)。
- トヨタ・・・約2億3000万円
- ホンダ・・・約1億5000万円
- マツダ・・・1億円未満
- 三菱自動車・・・1億円未満
マツダと三菱自動車は役員報酬が1億円を超える取締役が存在しないので、個人額は開示されていません。
あのトヨタよりも「4倍以上」の報酬を、カルロス・ゴーンは貰っている事になりますね。それだけ日産に貢献してきたという事なのでしょうか。
日産で成し遂げた功績
日産は高度な「技術力」と「デザイン力」は有りましたが、「収益力」の面でかなり問題が有りました。カルロス・ゴーンがCOOとして就任する前の1999年度の営業利益率は「約1%」と、自動車メーカーの中でかなり低い位置にいました。
カルロス・ゴーンはこの収益力の課題をクリアして経営を再建する為に「日産リバイバルプラン」を発表し、このプランに従って日産を立ち直らせていきます。
まず、経営再建の結果を営業利益率の推移で見ていきましょう。
年度 | 営業利益率(連結) |
---|---|
2000年度 | 4.8% |
2001年度 | 7.9% |
2002年度 | 10.8% |
2003年度 | 11.1% |
2004年度 | 10.0% |
2005年度 | 9.2% |
2006年度 | 7.4% |
2007年度 | 7.3% |
2008年度 | -1.6% |
2009年度 | 4.1% |
2010年度 | 6.1% |
2011年度 | 5.8% |
2012年度 | 5.4% |
2013年度 | 4.8% |
2008年度はサブプライムローン問題の影響で大きく減益しています。
見事に収益率が向上している事がわかりますね。それでは「日産リバイバルプラン」の内容を見てみましょう。
日産リバイバルプラン
カルロス・ゴーンは9つ(購買・販売・車種削減など)の部門を横断した「クロス・ファンクショナル・チーム」をつくり、日産リバイバルプランの作成に取り掛かります。これにより、社員は部門のみの事だけではなく、会社全体を意識した仕事をするようになりました。
■日産リバイバルプランの3つのコミットメント(必達目標)
2000年度に、連結当期利益の黒字化を達成
2002年度に、連結売上高営業利益率4.5%以上を達成
2002年度末までに、自動車事業の連結実質有利子負債を7000億円以下に削減
達成出来なければ、取締役全員が退陣するとまで宣言しました。
これらの目標を達成する為に行った改善策は以下の通りです。
- 5箇所の工場を閉鎖
- 人員を約2万人削減
- 系列の会社の株式を売却
- 車種(ラインナップ)の見直し 等
これらの改善策が功を奏して、コミットメントを1年前倒しで達成しました。
このような功績が10億円の年収として評価されているのかもしれません。大株主がルノー(カルロス・ゴーンはルノーのCEOでもある)である事も、影響しているのは間違い有りませんが。
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