自動車を下取りに出した時の仕訳【事例サンプル付き】

下取り  
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仕事で使っている自動車をディーラーに下取りに出した場合、帳簿上はどの様に処理すればいいでしょうか?自動車関連の仕訳はややこしい物が多いですが、特に下取りの仕訳処理に悩まれる人は多いです。キッチリと把握しておきましょう。

なお、法人か個人事業主かによって仕訳が異なるので、順に解説していきます。

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前提条件と仕訳の考え方

ここでは、以下の前提条件を元に各仕訳を考えていきます。

前提条件

・当初の取得価額(帳簿価格)は1,482,000円
・資産計上されているリサイクル預託金は18,000円
・下取り時の帳簿価格は200,000円(減価償却累計額1,282,000円)
・下取り価格は300,000円(リサイクル預託金を含む)
・下取りに係る他の費用は無かったものとする
・消費税は8%
・新たに購入した車の金額は(車両本体+付属品合計)で2,700,000円(消費税込み)
・リサイクル預託金15,000円(内、資金管理費用200円)
・検査登録等代行費用は37,800円(消費税込み)
・重量税、取得税、自動車税、法定費用の合計は50,000円
・自賠責保険料は25,000円

:車の下取りは消費税の課税取引となります。消費税の処理方法として「税込処理」を採用しているか「税抜処理」を採用しているかで、仕訳が異なるので注意が必要です。

仕訳は、以下の3手順で考えると分かり易いです。

  • ①新しく購入した車両の仕訳を書き出す
  • ②下取車の仕訳を書き出す
  • ③2つの仕訳を合算する

まずは、ベースとなる仕訳例として「消費税を税込み処理している法人(減価償却は直接法)」を以下に示します。

新しく購入した車両の仕訳

借方金額貸方金額
車両運搬具2,700,000現預金2,827,800
預託金14,800
支払手数料38,000(*1)
租税公課50,000
保険料25,000
合計2,827,800合計2,827,800

下取りした場合でも、新しく購入した車に関する部分の仕訳は、通常の車購入時の仕訳と変わりありません。(参考:車購入時の仕訳

*1 支払手数料38,000円の内訳は、「①リサイクル預託金の資金管理費用200円」と「②検査登録等等代行費用37,800円」の合計です。

下取車の仕訳

借方金額貸方金額
現預金300,000車両運搬具200,000
預託金18,000
固定資産売却益82,000
合計300,000合計300,000

下取りした場合でも、下取りに出した車に関する部分の仕訳は、通常の車売却時の仕訳と変わりありません。(参考:車売却時の仕訳)

なお、リサイクル預託金は「固定資産売却損益」に影響を与えます。詳細には下記記事も御覧ください。

自動車のリサイクル預託金関連の仕訳まとめ

合算の仕訳

借方金額貸方金額
車両運搬具2,700,000車両運搬具200,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料38,000現預金2,527,800
租税公課50,000固定資産売却益82,000
保険料25,000
合計2,827,800合計2,827,800

下取り時の仕訳は、上記の新しく購入した車の仕訳と下取車の仕訳を合算することで完成します。いきなり完成形の仕訳を考えると頭が混乱しますが、この様に分解して考えると意外に簡単に出来ますね。

法人の会計処理方法毎の仕訳

では、以下で消費税や減価償却の処理方法毎の仕訳や、個人事業主の場合の仕訳を見ていきましょう(合算の仕訳のみ記載します)。

法人(税抜処理・直接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,500,000車両運搬具200,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料35,185現預金2,527,800
租税公課50,000固定資産売却益61,111
保険料25,000仮受消費税等20,889
仮払消費税等202,815
合計2,827,800合計2,827,800

自賠責保険料(保険料:25,000円)は消費税の非課税項目です。

仮払消費税の計上対象は「車両運搬具」と「支払手数料」です。【計算式:(2,700,000円+38,000円)×8÷108=202,815円】

仮受消費税の計上対象項目は車両の下取価格(売却価格)です。リサイクル預託金を除く売却価格は282,000円です。【計算式:282,000円×8÷108=20,889円】

法人(税込処理・間接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,700,000車両運搬具1,482,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料38,000現預金2,527,800
租税公課50,000固定資産売却益82,000
保険料25,000
減価償却累計額1,282,000
合計4,109,800合計4,109,800

法人(税抜処理・間接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,500,000車両運搬具1,482,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料35,185現預金2,527,800
租税公課50,000固定資産売却益61,111
保険料25,000仮受消費税等20,889
仮払消費税等202,815
減価償却累計額1,282,000
合計4,109,800合計4,109,800

個人事業主の場合の仕訳

個人事業主の場合、自動車を100%業務に使用していたのであれば、法人との違いは「固定資産売却損益」の代わりに「事業主貸(借)」を使うという点のみです。個人事業主の場合は、自動車(固定資産)を売却した場合の所得は譲渡所得として計算する必要があるので、事業所得の帳簿からは損益を切り離す必要がある為です。

車の売却代金を譲渡所得として確定申告する時の計算の仕方

下取り

一方で、個人事業主で自動車を家事用(生活用)としても使用している様な場合は、家事消費割合分は必要経費とする事が出来ません。新しく購入した車に係る必要経費を事業用割合と家事消費割合に応じて按分する必要があります。

以下では、上述の前提条件に「事業用:家事消費=7:3」という条件を加えて仕訳を見てみましょう。

個人(税込処理・直接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,700,000車両運搬具200,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料26,600現預金2,527,800
租税公課35,000事業主借82,000
保険料17,500
事業主貸33,900
合計2,827,800合計2,827,800

事業主貸として費用按分されるのは「支払手数料、租税公課、保険料」の3つです。

個人(税抜処理・直接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,500,000車両運搬具200,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料24,630現預金2,527,800
租税公課35,000事業主借61,111
保険料17,500仮受消費税等20,889
事業主貸33,900
仮払消費税等201,970
合計2,827,800合計2,827,800

個人(税込処理・間接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,700,000車両運搬具1,482,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料26,600現預金2,527,800
租税公課35,000事業主借82,000
保険料17,500
事業主貸33,900
減価償却累計額1,282,000
合計4,109,800合計4,109,800

個人(税抜処理・間接法)の場合

借方金額貸方金額
車両運搬具2,500,000車両運搬具1,482,000
預託金14,800預託金18,000
支払手数料24,630現預金2,527,800
租税公課35,000事業主借61,111
保険料17,500仮受消費税等20,889
事業主貸33,900
仮払消費税等201,970
減価償却累計額1,282,000
合計4,109,800合計4,109,800

上記は、一般的な解説です。個別具体的な点に関しては税務署か税理士に相談する様にして下さいね。

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