開業前に購入した自動車の減価償却費の計上の仕方【法人・個人両方】

車両  
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こちらの記事で車の減価償却費は「創立費」や「開業費」として計上する事が出来ないことを書きました。この記事だけを見ると「開業前や創立前に購入した車の費用を計上する事は絶対に出来ないのか?」と思ってしまいますよね。

実は、「創立費」や「開業費」として計上することが出来ないだけで、費用計上することは出来るのです。以下、法人の場合と個人の場合に分けて解説していきます。

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法人の場合は創立前に購入したのか開業前に購入したのかで異なる

まず法人の場合、「創立前」に購入した車というのは社長等の個人名義のはずですよね。従って、法人の固定資産として計上することは本来おかしいです。

そこで、「車を社長から法人に売却する(参考:中古車の耐用年数の求め方)」、若しくは「車を社長から法人に貸し付ける」という方法を採れば法人の経費とする事が出来ます。

いずれの場合も「適正な価額」で処理するようにして下さい。恣意的な金額で処理すると税務上否認される恐れも有ります。

業務用

また、「創立後開業前」に法人が購入した車は固定資産計上されるので、通常通り減価償却費として経費計上して行く事になります。

個人事業主が非業務用から業務用に転用した場合の減価償却

一方の個人事業主が開業前に購入した車についてですが、以下の様に、業務用に使い始めた時から固定資産として計上し、減価償却費として必要経費に計上することが出来ます。

個人事業主が非業務用の車を業務用として使い始めた(転用と言います)場合、この車を固定資産に計上し、減価償却費を計上することができます。

但し、購入時から業務用に転用するまでの間に車の価値は減少しているので、価値の減少した分(減価の額)を以下の計算式の様に、減価償却計算の基礎となる取得価額から差し引く必要があります。(参考:国税庁

取得価額-減価の額=業務用に使い始めたときの未償却残高相当額

計算式にある「減価の額」は、以下の方法で算出します。

購入時から業務用として使われていなかった期間について、本来の耐用年数の1.5倍に相当する年数で旧定額法によって計算した減価償却費の累計額


言葉で見ても分かりにくいので、計算例で見てみましょう。

前提条件

車両購入時期:平成25年1月
車種:普通乗用車(セダン)
取得価額:350万円
開業時(業務用に転用した時):平成26年1月
耐用年数:6年
旧定額法による償却率(9年):0.111
定額法による償却率(6年):0.167


車を購入してから業務用に転用するまでに1年間が経過しています。そこで、この1年間で減少した価値を計算することになるのですが、計算は「旧定額法」により、耐用年数は本来の6年を1.5倍した「9年」を使用します。

3,500,000円-(3,500,000円×0.9×0.111)=3,150,350円(未償却残高相当額)


:経過年数に1年未満の端数があるときは、6か月以上は1年とし6か月未満は切捨。

未償却残高相当額が算出できたので、この金額を基礎として通常の減価償却をしていくことになります。参考に、平成26年の減価償却費は、「3,150,350円×0.167=526,108円」、期末の車両運搬具の帳簿残高は「3,150,350円-526,108円=2,624,242円」となります。

自動車の減価償却の計算方法や仕訳の仕方

なお、購入した車が中古車だった場合、まず上記と同様に未償却残高相当額を算出します。そして、業務用として減価償却する際の耐用年数については、法定耐用年数ではなく、中古車の購入時から業務用に転用した時点までの経過年数から、耐用年数を算出して減価償却をすることになります。(参考:国税庁

中古車の耐用年数の求め方・計算方法

上記の解説は、一般的な会計処理等の紹介です。個別具体的な疑問に関しては税務署や税理士に相談する様にして下さいね。

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